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MA(マーケティングオートメーション)

MA(マーケティングオートメーション)とは?検討する前に知っておくべきこと

マーケティングオートメーションは、マーケティング活動を自動化してくれるツールとしてビジネスの現場に浸透してきました。ただ、実際に導入して自分たちなりの運用スタイルを確立できている企業は少ないように感じます。

本記事では、これからマーケティングオートメーション(MA)の導入を検討している企業や、導入したばかりで運用スタイルを模索している企業の担当者に向けて、下記の基本的な情報を解説します。

  • マーケティングオートメーションとは何か
  • マーケティングオートメーションにできること
  • マーケティングオートメーションの活用方法

マーケティングオートメーションとは?

マーケティングオートメーション(MA)は、マーケティング活動を「より有利」「より便利に」「より効率よく」進めるためのツールです。サービスによって多少の違いはありますが、マーケティングオートメーション(MA)はおおむね、

  • 現在の顧客の情報を集めて、蓄積していく
  • 潜在的な顧客(これから先顧客となりうる人)を育てる
  • 現在の収益プロセスなどを分析して、改善に役立てる

これらのことができるツールだと考えられます。

なお、マーケティングオートメーション(MA)はこれらの作業を自動で行ってくれます。
人力で行おうとすると、時間がかかるうえにミスが出やすい「だれが、どんな職業についていて、どこに住んでいて、どんな情報を見たか」などを自動でまとめてくれるわけです。このような分析結果に基づき、さらなる購入につながるようなメールの配信なども行えます(「できること」に関しての詳細は、後述します)。

MAが求められる背景

すべての技術は日進月歩であり、その技術の進歩によって世界は大きく様変わりしていきます。マーケティングの分野もまた、例外ではありません。

つい30年ほど前までは、人々は「チラシ」「テレビ」などから商品・サービスの情報を得ていました。インターネットを使った情報発信がまったくのゼロだったわけではありませんが、それを発信・取得できる人は非常に少なかったため、企業は「折りこみチラシ」「テレビCM」などに力を尽くせばよかったのです。また、いわゆる「飛び込み営業」や電話での営業なども、売り上げを伸ばす有効な手段のうちのひとつとなっていました。

これらの営業方法は、令和の時代でも生き残っています。しかし現在の人々は、これだけを知識源として商品・サービスを購入することはほとんどなくなったと言ってもよいでしょう。
インターネットの利用率は2020年には83パーセントを超えていますし、2019年の段階でもモバイル端末の普及率は実に96.1パーセントにも上っていました。

つまり多くの人が当たり前にモバイル端末を使い、インターネットにアクセスをし、興味のある商品・サービスの情報にアクセスをし、それを比較検討できる時代になっているのです。またSNSの「ブロック機能」にあるように、人々は「自分にとって関心のない商品・サービス」の広告が自分の目に触れないようにすることもできるようになりました。

「テレビでなんとなく聞いていたので、覚えていた」「今まで知らなかった商品だったけれど、チラシで見て気になった」「いろいろ調べるのが面倒だから、なんとなく聞いたことのあるものにしよう」という理由で商品・サービスが選ばれることは少なくなり、「自分が求める商品・サービスを、自分が求めるかたちで、比較検討して、身長に選ぶこと」ができるようになったのです。

このような状況下では、企業も情報をただ一方的に流すだけでは十分な利益を得られません。
「その人が求める情報を、求めるタイミングで提示すること」が非常に重要になってきているのです。そしてそれを可能にする手助けとして、「マーケティングオートメーション(MA)」があります。

MAが求められる背景

MAを導入するメリット

マーケティングオートメーション(MA)を導入するメリットは、いくつかあります。

  • 効率のよい収益アップが見込める
  • 必要なときに、必要な人に、必要な情報を届けられることで信頼感がアップする
  • ミスが起こりにくい

ひとつずつ見ていきます。

効率のよい収益アップが見込める

マーケティングオートメーション(MA)の第一の目的を問えば、やはり「収益アップ」を挙げる人が多いといえるでしょう。

潜在的な顧客のなかでも特に自社製品・自社サービスに興味を持っている人に対して情報分析を土台としたアプローチができますし、既存の顧客に対しても効果的な売り込みが可能になります。新規の顧客になりうる人をもらすことなく自社に引き付けたり、既存の顧客にさらなる購入を促したりしやすくなります。

必要なときに、必要な人に、必要な情報を届けられることで信頼感がアップする

かつての「飛び込み営業」「電話での営業」 は、2022年の現在においては忌避されがちです。しかしマーケティングオートメーション(MA)を導入した場合、顧客(潜在的な顧客を含む)情報を蓄積し、分析し、それぞれにピンポイントを合わせた営業活動ができます。

「必要なときに、必要な人に、必要な情報を届けられる企業」として、収益のアップだけでなく、信頼度のアップも見込めるでしょう。

ミスが起こりにくい

どれほど優秀な人であっても、人間である以上、ミスを起こす可能性はあります。ヒューマンエラーを完全にゼロにすることは、だれにもできません。特に扱う情報の量が増えてくればなおさらです。マーケティングオートメーション(MA)は、今まで人間が人力で行っていたこと(あるいは人力で行うことは不可能だからと諦めていたこと)を、自動的に、間違いなく、迅速に行ってくれます。

これによってヒューマンエラーを避けることができるようになるばかりではなく、人件費も削減できるようになります。

マーケティングオートメーションにできること

ここからは主に「機能面」からマーケティングオートメーション(MA)に注目して、マーケティングオートメーション(MA)の主な機能について解説していきます。

MAの主な機能

マーケティングオートメーション(MA)の機能は、実にさまざまです。
どの企業のツールかによって、できることは変わってきますが、ここでは多くのマーケティング現場で使われている以下の7つの機能について紹介します。

  1. 「リード情報(見込み客の情報)」を管理する機能
  2. 見込み客が成約する確率を評価する「スコアリング」機能
  3. 見込み顧客に対してアクションを計画する機能
  4. ランディングページなど販促ページを作成する機能
  5. メールマガジンの作成および配信機能
  6. 広告媒体との連携機能
  7. 取得したマーケティングデータを分析する機能

1.「リード情報(見込み客の情報)」を管理する機能

令和の時代の販売においては、「潜在的な顧客の情報を知ること」が非常に重要になってきます。

たとえば見込み顧客が自社のサイトに訪れてくれたか、資料を取り寄せてくれたか、過去に購入(購入にいたらなかった場合でもやりとりがあったかどうか)したかなどの情報を、企業側が管理することは非常に重要です。BtoBの職種であるのならば、相手と名刺を交換したか、交換したのであればどんなシチュエーションだったかをまとめておくことで、未来のマーケティング活動に活かすことができます。

それたの活動をいままで手動でおこなっていた時代があり、そうすると属人的になってしまいます。1人の営業が辞めてしまえば過去の積み重ねたセールスデータがすべて失われてしまいますが、もしリード情報として管理することができれば、それが資産となるのです。

この過去情報を正しく管理できるかどうかは、その後のセールス活動に大きな影響をもたらします。

たとえば、自分が「両方の説明会に行ったが、A社の商品にしようか、B社の商品にしようか決められない」と迷っているときに、「以前弊社の説明会に来てくださいましたよね。当時の担当者をつけさせていただきます」と言ってきたA社と、「初めまして、この商品の特徴は△△で……」とすでに説明された話を繰り返すB社では、どちらの方に好感触を抱くでしょうか。このときのB社の立場にならないためにも、見込み顧客の情報管理は非常に重要なのです。そしてマーケティングオートメーション(MA)では、この情報を一括で管理できるようになっています。

2.見込み客が成約する確率を評価する「スコアリング」機能<

見込み顧客の情報をまとめられる機能は非常に有用なものですが、マーケティングオートメーション(MA)では、さらにそこから「その見込み客がどれほどの確率で成約に至るのか」まで評価することができます。

たとえば、ホームページのトップページを読んだだけの人と、資料請求までした人では、当然のことながら成約確率が異なります。そのため、マーケティングオートメーション(MA)の機能では、その見込み顧客がとったアクションに点数をつけて、「その見込み顧客がどれくらいの確率で成約に至るか」を導き出します。これを知っておけば、より成約の可能性が高い見込み客に対してアピールしやすくなるでしょう。

これは「スコアリング機能」とも呼ばれます。なお、その値が一定に達したら通知が来るようになっているものもあります。

3.見込み顧客に対してアクションを計画する機能

2で高い評価がつけられた見込み客には積極的にアプローチすることで、効率的なセールス活動を実現することができます。また、より確実性の高い状態に持っていきたいのであれば企業側から購買意欲を高めるためのアプローチが必要になります。

マーケティングオートメーション(MA)では、「案内メール受信者のうち、開いた人には1週間後に「〇〇」というメールを送付する」といったアクションを自動的に起こすための設定が可能です。これを自動ワークフローと言います。

もっと直接的に、「ここをクリックすると、割引のクーポンがもらえる」などのように、可視化しやすい「オトク感」を打ち出せるようにする方法もあります。
それぞれの見込み客によって効果的なアプローチ方法は異なりますが、過去に取得したデータを用いて最適な方法を導き出し、アクションを計画することもマーケティングオートメーション(MA)の機能の一つなのです。

4.ランディングページなど販促ページを作成する機能

現在はどこの企業もホームページを持っています。また、ホームページから直接に商品を購入できるようにするため、問い合わせ・注文フォームを設けているはずです。マーケティングオートメーション(MA)では、このようなページ・フォームを設定するための機能が付いています。マーケティングオートメーション(MA)を導入することで、ホームページ作りまでできるのです。

なお、ここで作ったこれらのページは、上で挙げた1の情報収集ととりまとめ、2のスコア化、3のアクションの基礎ともなります。

マーケティングオートメーション(MA)の活用方法

マーケティングオートメーション(MA)を導入するまでの流れと、運用後の動き

マーケティングオートメーション(MA)を導入するまでの流れと、運用後の動きは以下の通りです。

1.どのツールを選ぶかを考える

下記の「MAツールの選び方」を参考にして、どのマーケティングオートメーション(MA)ツールを選ぶかを考えます。
この前段階として、企業内でミーティングを行い、「現在抱えている問題は何か」「どこを明瞭にすれば契約に結び付きやすくなるか」を話し合うとよいでしょう。

2.設定を行う

マーケティングオートメーション(MA)ツールは、導入すれば自動的にすべての設定・登録ができるものではありません。
まずは初期設定を行わなければなりませんし、すでに見込み顧客のデータがあるのであればそれの登録もしなければなりません。
なお、「初期設定を自分たちでできるか自信がない……」という場合は、導入支援及び運用代行のサービスを利用するのもひとつの手です。

3.実際に運用していく

マーケティングオートメーション(MA)ツールは「一度入れてしまえば終わり」というツールではなく、使い続けていくことで初めて意味を持つものです。
そのため、「まず計画し、実行し、評価し、改善していく」ということを繰り返していかなければなりません。
また運用に関しては、マーケティングオートメーション(MA)を「どこかの部門だけのもの」にするのではなく、さまざまな部門とも共有していくことが重要です。各部門・各員で認識と問題意識と結果を共有することで、マーケティングオートメーション(MA)は大きな意味を持つことになります。

MAツールの選び方

マーケティングオートメーション(MA)ツールは数多くの種類があります。
そのため、事前にしっかりと選定してから契約をしなければなりません。
選び方のポイントは、以下の通りです。

1.自社向けのサービスかどうか

マーケティングオートメーション(MA)ツールのなかには、BtoBを得意とするものとBtoCを得意とするものがあります。自社のビジネスにより合ったものを選びましょう。
また、マーケティングオートメーション(MA)に詳しくないときには、「とりあえず高機能のものを」と考えがちです。
しかし、高機能=良いものである、とは限られません。
自社の必要とするレベルとそぐわないほどに高レベルなものを選んでしまうと、「高機能のマーケティングオートメーション(MA)ツールを使いこなすだけのスキルを持っている社員がだれもいない……」「明らかにオーバースペックで、機能の高さを持て余してしまう……」ということになりかねません。

2.コストを考える

マーケティングオートメーション(MA)ツールに限ったことではありませんが、「コストを意識すること」は非常に重要です。
マーケティングオートメーション(MA)ツールは値段が千差万別で、まったく異なります。「低機能のものならば無料で使える」としているところもある一方で、月額費用が15万円を越えるものもあります。
ただ、重要なのは「単純に安いものを選ぶこと」ではありません。「費用対効果」の方を意識する必要があるのです。そしてこれを見極めるためには、1の「自社に合ったもの選び抜く」という視点が非常に重要です。

3.導入・移行はスムーズに行えるか

初めてマーケティングオートメーション(MA)を使おうとすると、いろいろととまどいも起きやすいものです。そのため、サポート体制がきちんと整っているところを選ぶことが重要です。
またすでにSFAなどを活用している場合は、それと連携させられるか、移行はスムーズに行えるのかなども考えておく必要があります。

MA導入の注意点

マーケティングオートメーション(MA)は、「導入しさえすれば契約が劇的に増える」というものではありません。これを有用に使うためには、導入前に抑えておくべき注意点もあります、

まずはセキュリティ面です。企業は、自社が持ちうる顧客情報が流出しないように万全の体制を敷かなければなりません。そのマーケティングオートメーション(MA)がセキュリティ面で安全なものかを確認しておく必要があります。

また、そもそもコンテンツの数が少ない場合、マーケティングオートメーション(MA)を入れても有用に活用できません。そのため、事前にこれを充実させるための試みをとらなければなりません。社内で作っても構いませんし、外部に発注してもよいでしょう。

企業が持つ「見込み客の情報」は、マーケティングオートメーション(MA)を活用するうえでもっとも重要なデータです。マーケティングオートメーション(MA)はこの見込み客に対して効果的にアプローチしていけるツールですが、事前にこの見込み客の情報を企業が持っていることが前提となります。
ちなみに、「まだそれほど集まっていない」ということであれば、高機能のものではなく低機能のツールを使った方がよいでしょう。

最後に(まとめ)

マーケティングオートメーション(MA)ツールは、この令和の世の中において効率的に顧客・見込み客にアプローチしていくために非常に有用なツールです。
しかしこのツールを使いこなすためには、「そもそもこのツールにはどんな働き方が期待できるか」「どのようにして運用していけばいいか」「どんな選び方をしたらいいか」を詳しく知らなければなりません。
それを把握して初めて、マーケティングオートメーション(MA)を効果的に使いこなすことができるでしょう。