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インタビュー取材記事作成

プロが教える「インタビュー取材記事作成」を成功させる5つのポイント

コンテンツの企画対象となる人物を取材し、情報をわかりやすく文章にするインタビュー記事。本人の「生の声」で読者を引き込みやすく、リアリティのある記事を作ることができます。

この記事では、インタビュー記事作成のノウハウやポイントについて解説していきます。取材作成についての知識を深め、魅力的なコンテンツの作成に役立ててください。

インタビュー取材の基礎知識

一口に「インタビュー記事」と言っても、実際に取材から記事作成までおこなったことがない場合は、ピンとこないかもしれません。そこでまずは、インタビュー記事の基礎知識を解説します。

インタビュー記事には3つの形式がある

インタビュー記事には、対面形式・一人称形式・三人称形式の3つの形式があります。記事作成にとりかかる前の段階で、どの形式を採用するかを決めておきましょう。

対面形式

取材する人(インタビュアー)が質問する内容に対して、取材対象者(インタビュイー)が回答する流れを繰り返し、その情報を記事にまとめる手法です。一問一答のような記事構成で、シンプルかつ読みやすく仕上がるのが特徴。内容にストーリー性をもたせやすいため、取材対象者の人柄を感じさせ、印象に残る記事を作りたいときに有効です。

一人称形式

取材対象者が「話し手」となり、1人で話を進める記事形式です。インタビュー記事ではありますが、聞き手が登場しない、いわゆる「ゴーストライティング」といわれるものです。たとえば、ある会社の社長を取材して、『社長からのあいさつ』のような文章をライターが執筆するケースなどが該当します。一人称形式には問いかけの文章がない分、対面形式に比べてコンパクトにまとめやすいというメリットがあります。

三人称形式

取材対象者のみで文章が展開される一人称形式に対して、第三者視点で話を進めるのが三人称形式です。新聞記事のように、取材内容に対する意見を反映しながら書くことが多く、インタビュー中の会話は「」を用いて表現します。論理的で客観性を感じさせる文章になりやすく、「だ・である」調で書くことで堅い印象を与えやすいのも特徴。ただし、取材内容をそのまま文章にできないため、ライターの文章力が求められる形式ともいえます。

最近はオンライン取材も増えている

近年では、テレワークを実施する企業の増加にともない、ZOOMなどのビデオ会議ツールを使ったオンライン取材も増えています。オンライン取材は、通信環境さえ整っていれば場所を選ばず実施でき、移動時間や費用の負担をおさえられるのがメリットです。

ただし、通信環境が悪いと途中で止まる・切れるなどの可能性があることや、一定の人数以上になるとツールの利用に料金が発生することがデメリットとして挙げられます。また、オンライン取材の場合、インタビュー中の写真撮影が難しくなるため、素材の提供を先方にお願いするケースも多いです。

オフライン・オンラインの両方にメリットとデメリットがあるので、どちらのほうが目的にあっているかを考慮して選びましょう。

オンライン取材

インタビュー取材の流れ

インタビュー取材は、大きく5つの段階に分けられます。ここでは、インタビュー取材の流れを時系列で紹介します。

企画を考える

はじめに、インタビュー記事の企画を考えます。なんとなく取材したものを記事にしても、良いコンテンツにはなりません。読者の興味を引きそうな内容からアイディアをだし、企画の目的をできるだけ明確にしましょう。

企画の目的を明確にすることで、どのような内容が必要で、取材対象はどのような人物がふさわしいのかがわかるようになります。また、必要に応じて企画書を作成しておきましょう。

取材対象の選定とアポ取りをおこなう

どのような企画にするかを決めたら、取材対象者となる人物を選定します。企画の内容に沿った話が聞けて、なおかつ読者の興味をそそる人物を選びましょう。

取材対象者が決まったら、メールやホームページの問い合わせフォーム、SNSのDMなどから連絡してアポ取り(取材の約束)をおこないます。著名人や特定分野の専門家にインタビューする場合は謝礼が必要になることも多いので、事前に設定しておき、交渉材料にするとよいでしょう。

事前リサーチで下調べする

相手がどのような人物かを知らないままインタビューしても、浅い内容にしかなりません。そこで、インタビュー当日までに取材対象者をリサーチして、情報を集めておきます。

取材対象者のWebサイトや過去のインタビュー記事、書籍、SNSなど、すでに世の中に出ている情報を把握しておき、さらに濃い質問ができるように下調べしておきましょう。

質問項目を作成する

事前リサーチで得た情報をもとに、インタビューで質問する内容を考えていきます。当日は時間の制限があるため、「必須の質問」と「できれば聞きたいこと」の2つにわけて5〜10項目ほど考えておくとよいです。

また、取材対象者には、質問内容を事前に共有しておきましょう。質問内容を共有しておくことで、あらかじめ回答が考えられるため、当日の受け答えがスムーズになります。

取材内容を文字起こしする

インタビュー中は、取材対象者の了承を得たうえで、ICボイスレコーダーなどに会話を録音しておきます。終了後、録音しておいたデータをもとに文字起こし(テキスト化)をおこないます。

文字起こしは必須ではありませんが、専門用語が多いインタビューではおこなう方がよいでしょう。1時間のインタビューの文字起こしには平均2〜3日程度かかりますが、聞き間違いや聞き逃しを防いで正確な記事を書くことができます。

インタビュー取材を成功させるポイント

次に、インタビュー取材を成功させるポイントを5つ紹介します。取材対象者から面白い話を引き出すためにも、スムースなインタビューを心がけましょう。

インタビュー中に話が脱線しても問題ない

取材する側がインタビューに慣れていない場合、緊張して「次の質問、次の質問」と形式的な進め方をしてしまうことがあります。しかし、事前に考えていた流れや質問内容から、話が少し脱線しても問題ありません。

取材対象者が気持ちよく話しているうちに、ぽろっとこぼれ話が聞けることもあるからです。無理に話を誘導しようとせずに、楽しい会話になるよう心がけましょう。

取材が盛り上がる「質問テクニック」を知っておく

「せっかく取材したのに、盛り上がらずに終わってしまった」という事態を避けるためにも、いくつかの質問テクニックを覚えておきましょう。

オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョンを組み合わせる

オープン・クエスチョンとは、

「〇〇についてどう思われますか?」
「今後の展望はどのようにお考えですか?」

のように、相手の答えに制限を設けない質問方法です。質問された側は自由に答えられるため、多くの情報を聞き出したいときに有効です。

一方、クローズド・クエスチョンは「はい、いいえ」や「AかB」のように回答範囲を狭くした質問方法です。相手の考えや事実を確認したい場合に有効ではありますが、多用すると会話が続かなかったり、尋問のように感じさせてしまったりするので気をつけましょう。

6W2Hを意識する

6W2Hとは、When(いつ)/Where(どこで)/ Who(だれが)/ Whom(だれに)/ What(なにを)/ Why(なぜ)の6つに、 How(どのように)/Howmany(どのくらい)の2つを加えたフレームワークです。

情報量が多くてまとまらない時や、回答が曖昧な場合でも、6H2Wを意識した質問をすることで、さらに掘り下げることができます。

たとえば、

「その商品が誕生したのはいつですか?」(When)
「その発想を思いついたきっかけは何ですか?」(What)
「なぜ、そのようにお考えになったのでしょうか?」(Why)
のような使い方ができます。

適度な相づちを心がける

インタビュー取材は、対象者の話を聞くことがメインではありますが、「会話」であることに違いありません。そのため、会話が広がらなければ深い話を聞くことができず、場合によっては気まずい雰囲気になってしまうこともあります。

必ず相手の話に合わせた相づちを打ち、「あなたの話を聞いていますよ」という意思表示や共感を心がけ、気持ちよく話せる環境を作りましょう。

取材場所の確保と、撮影準備は入念におこなう

インタビューは、取材対象者が話しやすい場所でおこなうことも大切です。取材の目的によっても異なりますが、多くの場合は以下のような場所で実施します。

  • オフィス、会議室
  • カフェ
  • レンタルスペース

場所を選ぶときは、お互いの声がよく聞こえるように、周囲の音が入る場所はできるだけ避けるのが無難です。取材の日程が決まったら、早めに予約して取材場所を確保しておきましょう。

また、インタビュー取材では、ライター自ら撮影することもめずらしくありません。できるだけクオリティの高い写真が撮影できるように、カメラは一眼レフが望ましいです。

取材対象者と少し離れた場所からズームで撮影すると、背景がボケてよい雰囲気の人物写真になります。撮りたい写真にあったレンズの用意も、忘れないようにしましょう。手振れが心配な方は、三脚を設置して撮影すると安心です。

また、「インタビューは屋内・撮影は屋外」でおこなう場合、両方の場所を確保する必要があります。

インタビュー中の沈黙とメモの取り方について

インタビュー中の沈黙に対して、ネガティブなイメージを持っている方もいるでしょう。しかし、沈黙は「相手が答えを考えている時間」でもあるので、闇雲に怖がる必要はありません。

世の中には考えながら話せる人もいれば、そうでない人もいます。そのため、沈黙になったからといって、焦って次々と質問する必要はないのです。

もし、取材対象者が言葉に詰まった場合は、「〇〇さんにとってそれは、△△だったのではないですか?」というように、言語化を手伝うことでスムーズに会話を進めることができます。

また、インタビュー中のメモの取り方に決まりはありませんが、出来るだけ会話に集中するためにも、ボイスレコーダーに録音しておき、メモは最低限の確認ができる程度にとどめておくとよいでしょう。

取材した内容はできるだけ早く記事化する

取材後は、出来るだけ早めに記事にすることも大切です。というのも、インタビューした日から時間がたてばたつほど、当日の会話内容や空気感を忘れてしまうからです。

「ボイスレコーダーに録音してあるから大丈夫」と思っていても、インタビュー後すぐに執筆したものと、時間が経ってから執筆したものでは、記事の鮮度や熱量が変わってしまいます。

フレッシュで臨場感のあるコンテンツを作るためにも、インタビュー終了後は早めに記事作成に取り掛かりましょう。

編集者がイラっとする残念なインタビュー原稿

インタビューで得た材料(情報)をどのように調理するかは、ライターの腕の見せ所です。せっかく時間と労力をかけても、残念なインタビュー原稿になっては意味がありません。

ここでは、編集者がイラっとする残念なインタビュー原稿の特徴を3つ紹介します。これらのポイントに気をつけながら執筆しましょう。

残念なインタビュー原稿

情報の取捨選択ができていない

インタビューは会話の流れによって進んでいくため、執筆すべき情報とそうでない情報が入り混じっている状態です。しかし、限られた文字数で原稿を完成させるためには、読者にとって有益な情報かどうかを選別する必要があります。

当然ですが、インタビューした内容をすべて書く必要はありません。記事ボリュームに気をつけながら必要な情報を前線し、最後まで読みたくなるような記事内容にしましょう。

ストーリーに沿っていない

ストーリーに沿っていない記事も、残念な印象を与えやすいです。取材中に話が脱線した場合、途中で違う内容が入ってしまうことがあるかもしれません。しかし、そのまま記事にすると読者が話の流れをつかみにくく、途中で飽きられてしまう可能性があります。

インタビュー記事を書くときは時系列や起承転結などの文章の方に当てはめ、読者がスラスラと最後まで読める構成にすることが大切です。

話し言葉が書き言葉に直っていない

日本語には、「話し言葉」と「書き言葉」の2種類があります。つい、インタビュー中の会話=話し言葉で書いてしまいがちですが、文章にするときは必ず書き言葉に直しましょう。

とくに「ら」抜き言葉や「い」抜き言葉、二重表現などは会話では多用されるものの、書き言葉になると気をつけなければなりません。原稿を書いたあとは必ず読み返し、書き言葉に治っているかどうかをチェックしておきましょう。

まとめ

魅力的なインタビュー取材記事を作るには、企画から事前リサーチ、インタビュー当日の雰囲気づくりなど、執筆以外にも重要な要素がたくさんあります。自分も取材相手もリラックスした雰囲気でインタビューをおこなうと、ほかのメディアには出ていない、貴重な話が聞けるかもしれません。

また、取材後はインタビューした内容から必要な情報をピックアップし、すみやかに記事作成に取り掛かることも大切です。本記事を参考に、高品質なインタビュー記事作成を目指しましょう。