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BtoBメルマガ

【初心者向け】BtoBメルマガの教科書~運用のコツ、注意点~

BtoBビジネスにおけるメルマガの活用が増えています。背景には、コロナ禍で対面営業が減ったり、マーケティングDXが推進されたりと、BtoBビジネスにおける環境に変化が生じていることが大きいでしょう。

重要性を理解してメルマガをはじめようと考えているものの、何から始めればいいのかわからない人も多いのではないでしょうか。メルマガ配信も、ほかのマーケティング施策と同様に方針や目的、配信するコンテンツの種類などを事前に決めておく必要があります。

本記事では、BtoBメルマガの概要と始め方、活用例などを解説します。

馬鹿にできないメルマガ(メールマガジン)の威力

近年、メール配信ツールが進化してきました。リストに一斉配信できることはもちろん、1回1回の配信結果をあらゆる角度で分析することができる ため、強力なマーケティングツールの一つです。

また、マーケティングオートメーション(MA)を取り入れることで、セグメントされた見込み客に連続的なアプローチもできるようになります。つまり「メルマガ」とは、ただメールを配信するだけのことではなく、かなり戦略的な企画が必要な取り組みとも言えるでしょう。

BtoBメルマガ

メルマガの役割(リード育成、コンバージョン獲得、リテンション)

メルマガの役割には、主に以下の3つがあります。

  • リード育成
  • コンバージョン獲得
  • リテンション

リード育成

メルマガは見込み客の育成(ナーチャリング)に用いられます。見込み客のリストに対してニーズがマッチするコンテンツを配信し続けることで、信頼関係の構築をはかることができます。

見込み顧客情報(リード)を獲得できたとしても、今すぐ契約を決めてくれる“今すぐ客”だとは限りません。サービス費用が高額になれば高額になるほど意思決定には慎重となり、検討期間が長引くケースが多いはずです。もしもメルマガによって時間をかけてサービスの価値を理解してくれていたり、配信者への信頼を感じることができていれば、実際にサービスの契約を決断するときに大きな後押しとなってくれます。

リテンション

リテンションとは、既存顧客との関係維持・強化のことです。顧客との継続的な関係が重要になるBtoBビジネスにおいて、非常に重要です。
例を挙げると、マニュアルに記載していないお得意様向けの活用法や、勉強会の開催告知などフォローアップを実施して、顧客ロイヤリティ向上を目指します。

コンバージョンの獲得

メルマガは「問い合わせ」や「資料請求」「セミナー申し込み」などの行動を促すことに用いることができます。商談に繋がる「コンバージョン」獲得が目的で、メールコンテンツでユーザーを説得します。リード育成とリテンションによって構築された関係値のうえで、実際に契約可能性の高い層にアプローチを行い、刈り取りに動きます。
自社サービスの魅力を直接的に伝えて問い合わせを促すパターンや、セミナー開催を実施して参加を促すパターンなどがあります。

BtoBとそれ以外のメルマガの違い

顧客のタイプによって分類される用語の一つである「BtoB」。他に何があるか知っていますか?BtoB以外にBtoC(企業と消費者の取引)、BtoE(企業と従業員の取引)、BtoG(企業と行政の取引)などがあります。

メルマガというとBtoCのイメージが強いかもしれません。ショッピングモールやネットショップを利用すると、定期的にメールが届きますし、皆さんの生活の中に当たり前にメルマガがあるからです。
こまめに配信停止の設定などしないと、大量のメルマガが毎日届いてメールボックスが酷いことになりますよね(^^;

BtoCのメルマガは、読者の関心を引く画像や動画を利用してブランドの世界観を表します。セール情報やクーポン配布など「プロモーション」に関する内容が多く、興味があればすぐに買い物ができるように導線が用意されています。

一方で、BtoBのメルマガは時間をかけてユーザーに情報提供をしていく必要があります。BtoBサービスの契約には最短でも数日、長ければ数カ月かかることもあります。消費者が買い物をするのと違って、BtoBでは複数の人が関わり、意志決定まで時間がかかるからです。

サービスを利用することで「できないことができるようになるか?」「業務が従来より簡単になるか?」「長期的に利益をもたらしてくれるか?」など他社サービスや業界を調査しつつ、最終的な決断をくだします。

BtoCのような動画や画像によるアプローチは少なく、コンテンツをしっかり読むことで理解してもらうようなアプローチが一般的です。

BtoBとそれ以外のメルマガの違い

BtoBメルマガの始め方

メルマガの配信方針(目的)を決める

BtoBのメルマガを始めるときは、まず配信方針と目的を決める必要があります。特定のサービスについて個別に配信するのか、会社全体のメルマガとして幅広い内容を取り扱うのかによって、巻き込む人や投下するリソースも変わってきます。

特定のサービスについてのメルマガを配信する場合は、事業や顧客特性に合わせた柔軟な配信ができますが、他部署や他部門とのリード共有やクロスセルといった連携はむずかしくなります。メルマガ配信ツールも、部署・部門ごとに異なるものを導入すると管理が大変になるでしょう。

会社全体のメルマガを配信する場合は、マーケティング施策専門のチームなどを立ち上げるケースが多いです。チームや部署ひとつで自社事業、全サービスに関するメルマガを一手に管理します。事業や商品ごとの差別化はやりにくくなりますが、ひとつの配信ツールを共有でき、クロスセルやリード共有も容易になります。

配信の目的については、先述のメルマガ3つの役割から決めるとよいでしょう。BtoBのメルマガ配信が初めての場合は個別配信がおすすめです。小さく始められるので試行錯誤が容易であり、ノウハウを蓄積できれば横展開も行えるからです。

リード情報を整理して配信リストを作成する

メルマガ配信の方針が決まったらリード情報を整理してリスト化しましょう。
見込み客の属性、サービスに対する温度感などを基準にセグメント分けしておけば、それぞれのグループに最適化されたメルマガを配信できるようになります。

一例を挙げると、ホットリードとコールドリードでは配信すべき内容が全く異なります。

サービス契約に前向きな「ホットリード」の場合、すでに商品・サービスに対するニーズが高まっているため、コンバージョンを狙った内容のメルマガが効果的です。

対して、コールドリードは商品・サービスへの興味・関心が低いので、ナーチャリング(見込み顧客を購入する状態まで育成すること)を目的としたメルマガが有効です。

このように、見込み客の温度感や属性別に配信する方法を「ターゲティング配信」「セグメント配信」と言います。

リスト作成作業は非常に手間がかかりますが、一度作ってしまえば後は追加していくだけなので、早めに作成しておくことをおすすめします。

メールコンテンツの作成をする

メールコンテンツを作成するときにもっとも重要なのはユーザー視点です。ユーザーのニーズに合わないコンテンツは読んでもらえないからです。

ユーザー視点でのコンテンツ作成で重要な要素は以下のとおりです。

  • 件名の工夫、適切な情報量、読みやすさなどに配慮する
  • メールコンテンツで使用するヘッダーとフッターを共通化する(ブランドイメージを統一する)
  • HTMLメールを使用する
  • 1メール1コンテンツのルールを守る

HTML形式のメールは表現力が高く、リッチなメールを作成できます。HTMLメールは、画像や動画を挿入したり、強調したい部分の文字を大きくしたり、色を変えたりすることが可能です。これらの視覚的要素をメルマガに加わえれば、開封率やクリック率が向上するでしょう。

また、1メール1コンテンツのルールを守ることも大切です。一般的なメールの閲覧時間は7秒以下と言われているため、複数のコンテンツを入れてもユーザーは読んでくれません。読まれないコンテンツを複数載せるよりも、コンテンツはひとつだけに絞って深掘りするほうがメッセージは伝わりやすくなります。

BtoBメルマガの活用例

BtoBメルマガの活用例を紹介します。

お役立ち系コンテンツ

BtoBのメルマガでよく配信されるお役立ち系コンテンツには、以下のようなものがあります。

  • ホワイトペーパー
  • ウェビナー
  • ブログ記事

ホワイトペーパーは、企業がかかえる課題を解決するための情報を提供するとともに、解決には自社の商品やサービスが有効であることを伝えるための資料です。商品やサービスに関心が低いユーザーに対して、よりくわしい資料をダウンロードしてもらうことを目的とします。

BtoBのメルマガでホワイトペーパーを配信するときの主なターゲットは、自社の商材で解決できる課題をかかえていて、かつ自社の商品やサービスの存在を知らないユーザーです。課題を解決するための方法と、必要な商品・サービスをユーザーに伝えることで、ニーズを顕在化させます。

ホワイトペーパー

ウェビナーはリードナーチャリングに有効な手法であり、挿入したURLリンクをクリックするだけで申し込めるので、メルマガでの訴求に向いているコンテンツです。自社にウェビナー開催の予定があるなら、積極的にメルマガで告知することをおすすめします。ウェビナーでユーザーのニーズを高めれば、購入意欲も一緒に高められるでしょう。

ウェビナーをメルマガで訴求するときは、ニーズがある程度顕在化しているユーザーをターゲットにします。訴求方法には、ライブ配信の日時をメルマガ本文で告知するケースとアーカイブ配信のURLをメルマガ本文に挿入するケースがあります。これらにあわせて、過去のウェビナーの内容を文字起こししたレポートも添付しておけば、より興味を持ってもらえるでしょう。

ウェビナー

ブログ記事については、自社ブログを運営している企業向けのコンテンツになります。自社ブログで有益な記事を更新したときにメルマガで通知すれば、そのブログを通してユーザーを自社のファンに育てることが可能です。資料のダウンロードやお問い合わせといった直接的なコンバージョンに誘導するのはむずかしいですが、定期的にユーザーと接触することで信頼度を高められます。

ブログ記事を配信するときの主なターゲットは潜在層と準顕在層です。自社の課題をまだ明確に認識していないユーザーに対して、純粋なお役立ち系の記事を提供することで長期的に接触する機会を作り出します。

ブログ記事

導入事例・ユーザーボイスの紹介

ユーザーボイス(導入事例記事)とは、自社のサービスを導入してくれた企業をインタビューして、その内容を記事にまとめたコンテンツのことです。導入企業と近い属性を持つユーザーに配信すれば、導入事例を自分ごととしてとらえてもらいやすくなります。

「業界」「企業・事業規模」「課題」などが近ければ近いほど効果が大きく、導入した状況を具体的にイメージさせられます。ユーザーボイスは、直接的に商品やサービスを紹介する資料とはちがって読むことに抵抗を感じにくいので、BtoBのメルマガとの相性が抜群に良いです。

配信するときの主なターゲットは課題解決の必要性を強く感じていて、「他社はどのように解決しているのか?」などの成功事例を参考にしたいユーザーが考えられます。

導入事例集は、自社の商品やサービスを導入した複数の企業の事例をひとつにまとめた資料です。「どんな企業が利用して、どんな成果を出しているのか?」を知りたいユーザーに提供すれば、大きな効果が期待できます。

導入事例集は一見ユーザーボイスに似ているように見えますが、内容は異なります。

ユーザーボイスはひとつの事例を深く掘り下げるコンテンツであるのに対し、導入事例集は複数の事例をひとつにまとめてユーザーに提供するコンテンツです。そのため、多くの成功事例を参考にしたいと考えるユーザーにとって、非常に有益であると言えるでしょう。

また、ユーザーのニーズにピッタリな事例が見つかれば、「この事例についてくわしく聞きたい」という問い合わせにもつなげられます。

導入事例集の主な配信ターゲットは、上記のように多くの成功事例を参考にしたいと考えているユーザーのほか、情報収集自体が目的になっているユーザーも含まれます。具体的には、課題解決に必要な情報収集の一環として、他社の成功事例を多くストックしておきたいと考えている企業などです。

メルマガオリジナルコンテンツ

メルマガオリジナルコンテンツとは、メルマガ限定で配信されるコンテンツのことです。既存ユーザーのリテンション(登録状態を維持すること)施策に有効なコンテンツです。メルマガ登録者しか読めない価値あるコンテンツを配信することで、既存ユーザーがメルマガの登録を解除することを防いでいます。

また、価値あるコンテンツをメルマガ限定で配信していれば、それを目当てに多くの新規ユーザーの登録も見込めるでしょう。

メルマガオリジナルコンテンツには、以下のようなものが挙げられます。

  • セミナー開催の裏話を教えるコンテンツ
  • メルマガ登録者だけがダウンロードできるノウハウ集
  • 新製品の無料トライアルや無料プランに申し込むための案内
  • メルマガ登録者だけが応募できるイベントの告知と応募手続きの案内

上記の中で、特に新製品の無料トライアルや無料プラン、登録者限定のダウンロードコンテンツなどの提供は、ユーザーに大きなメリットを感じさせられます。

メルマガを配信する側としても、無料トライアルや無料プランを提供して新製品を使ってもらえれば、有料プランへのアップグレードや本契約への移行などが期待できるでしょう。

まとめ

BtoB向けのセールス活動ではメルマガは有効な手段の一つですが、1回送っただけでは効果は見込めません。中・長期で「どのようなコンテンツ」を「どのようなペースで配信」していくべきなのか、しっかりと計画を立てなければなりません。更に、1回1回のコンテンツも、真にユーザーに有益であったり興味を引く内容でなければ意味がありません。社内のリソース負担も大きく大変です。

それでも、顧客と積み重ねた関係値は、会社にとって大きな資産となります。自社のサービスとの相性を見極め、ぜひメルマガにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。