
“コピペチェックツール”の活用方法 2025年版 <第4回 アントレース社内勉強会レポート>
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ウェブコンテンツや学術論文・レポートにおいて、他者が作成した文章や情報を無断で使うことは、法的・倫理的に大きなリスクが伴います。インターネットで簡単に情報が得られる現代だからこそ、テキストの盗用や無断転載の問題を未然に防ぐことの重要性が高まっているといえるでしょう。
当然、アントレースが制作するコンテンツにも、文章のオリジナル性や信頼性を保ち続ける必要があります。そのためにも、さらに活用していきたいのが「コピペチェックツール」。ウェブ上に存在する文章やデータベース内の文章と入力した文章を比較し、どのくらい類似しているかを判定するツールです。
この記事では2025年2月14日に「コピペチェックツール」をテーマに行われた「アントレース社内勉強会」の様子をレポートし、コピペチェックツールのひとつ「CopyContentDetector」を実際に使いながら、「利用方法」や「精度」、「注意点」について紹介していきます。
Index
コピペチェックツールとは、どんなツール?
後藤:今回のテーマは「コピペチェックツール」です。まだ活用していない方もいらっしゃると思うので、一緒に勉強していきましょう!
――よろしくお願いいたします。まずはコピペチェックツールとは何なのかというところから、解説していきます。
コピペチェックツールとは、既にWeb上で公開されている文章との類似度・一致率などを検出し、文章の盗用や重複が含まれていないかをチェックするためのツールです。
出版社・コンテンツ制作会社や一般企業・教育機関において、Web記事や論文・レポートのチェックに使用され、テキスト盗用の防止、著作権の保護、SEO対策(重複コンテンツとみなされると、上位表示されない場合もある)の観点で、近年は非常に重要性を増しています。
どんなときにコピペチェックをしている?
――皆さんは「コピペチェックツール」をどのような場面で使っていますか?
本間:私はライターの方に依頼した情報系コンテンツ制作の際に、「CopyContentDetector」でチェックしています。インタビュー記事の作成などでは使わないことも多いですね。
「他のサイトから引用した部分は教えてください」とライターさんに伝えてはいますが、書いた本人もわからなくなってしまうことがあるので…。
野田:作成していただいた文章に少し違和感がある場合などには、ライターさんに断りを入れてからツールを使うことがありますね。
――文章を作成するライター側が、自身の文章のオリジナル性を保つ用途で活用する場合もあるそうです。ライター側はコピーをしている認識がなくても、表現としてフレーズが他のコンテンツと重複する部分が出てきてしまうというのは避けられない部分があります。
本間:私も、そういう部分が「問題がない範囲なのかどうか」を確認するために、コピペチェックツールを利用しています。
2025年最新版の「コピペチェックツール」を比較!
先ほど名前が挙がった「CopyContentDetector」は、類似度や一致率、テキスト間判定などの多角的な判定ができるツールです。無料でも十分に使えるツールとして、利用者は多いと思います。
それ以外に、どのようなツールがあるのか見ていきましょう。
まずは「コピペリン」という基本有料のツールです。文章全体だけではなく、文節ごとに細かくフレーズのチェックが可能です。独自の検出ロジックで、ある程度の言い換えにも対応できるのがポイントですね。
「Chiyo-co」はわかりやすいUIが特徴的なツール。無料利用の制限が厳しめで、使い続けるのは少し難しいかもしれません。
他にも、「コピペルナー」や「CopyMonitor」は学術論文やレポートに特化したツールで、教育機関などで使われているようです。
「こぴらん」は個人開発の無料ツールで、シンプルで簡易的なチェックができるツールです。
「sujiko.jp」というツールもありますが、こちらはより単純な仕組みで、2つのサイトのURLを入力して比較する、ミラーサイト判定ツールです。
ツール | 特徴・機能 | 料金 |
---|---|---|
CopyContentDetector | ・「類似度」「一致率」「テキスト間チェック」による多角的な判定 ・わかりやすいUI ・無料でも十分に利用可能 ・チェックに要する時間は1~2分ほど。混雑時にはより時間がかかる可能性も |
個人向け ¥300/月~¥6,000/月 法人向け ¥10,978/月~¥110,000/月 ・有料版はWord・PDFファイルに対応し、外部システムとの連携が可能 ・法人向けは無料版とは別サーバーなので、サーバーの混雑に影響されない |
コピペリン | ・文章全体ではなく、文節ごとの細かいチェックが可能 ・文字数やファイル数の制限がない ・記事間の同一表現チェックも可能 ・法人プランがないようなので、PC1台に対して月額がかかる |
¥6,600/年 月額¥550 ※PC1台当たりの金額 |
Chiyo-co | ・特徴的なキーフレーズを抽出して類似度チェックが可能 ・グラフ表示やチャート比較など直感的なUI ・AIライティングのチェックツールとして優秀 ・無料利用はかなり時間がかかる印象 |
¥4,400/月~¥55,000/月 ・より高額なプランだと、チェックできる回数が増加する |
コピペルナー | ・論文やレポートに特化 ・インターネット上の文章だけではなく、ChatGPT生成の文章とも比較して、解析する ・大学教授が仕組みを考案したシステムを利用したツール ・チェック先との相関図を表示 |
ビジネス版 ¥27,800~¥29,800/年 ・使用ユーザー数により、価格が若干変動 |
CopyMonitor | ・学術論文や専門的な文章に特化したツール ・個人利用には不向き、法人向けの価格が不明 |
個人向け ¥9,900/文書当たり 法人向け 要問い合わせ |
こぴらん | ・シンプルで使いやすいUI ・類似Webページのリンクが貼られるので、直接確認できる ・個人開発の無料ツール |
無料 |
sujiko.jp | ・2つのURLを入力することで、比較・チェックできるミラーサイト判定ツール ・文章自体のチェックは不可 |
無料 |
コピペチェックツール7種類の比較
渡辺:無料と有料ツールの機能に大きな違いがあるように見えないですが、実際にはどうなんですか?
――基本的な仕組みは、検索エンジン内にあるウェブ上の情報と、入力した文章を比較するツールなので大きな差はないと思います。ただし、結果表示方法の違いやAIの介入、ウェブ上だけではなくて他にデータベースを組み込んでいるなど、独自な進化をしているツールも存在するということですね。
特に学術論文に特化した「コピペルナー」や「CopyMonitor」は、専門分野がある分、利用料金も高額になっている印象です。
後藤:逆に専門分野でなければ、機能的に大きな差がなく無料で十分に使えるツールがあるということですね。
4つのサンプル文章を使い「CopyContentDetector」を試してみる。意外な検証結果も!?
――では「CopyContentDetector」を実際に使ってみましょう。入力する文章は、4つのサンプルを用意いたしました。
1つ目はアントレースホームページの記事「おすすめの“AI文字起こしツール”2024年版<第3回 アントレース社内勉強会レポート>」の序盤部分を完全にコピペした文章です。
記事のリードから、セクション1「社内メンバーはどんなツールを使っている?」までをコピーしています。
「CopyContentDetector」の使い方は非常にシンプルです。サイトにアクセスして、「調査対象テキスト」にサンプルを入力。「規約に同意してコピペチェックする」をクリックするだけです。結果はどうなると思いますか?
野田:アントレースのホームページの記事も、ウェブ上で公開されているものですから、「100%類似」という結果がでるのではないでしょうか。
1. <サンプル①> 完全にコピペした文章
――サンプル①の調査結果は、類似度が91%で判定は「コピーの疑い」、一致率が95%で判定は「コピーの疑い」、テキスト間判定が0%で判定は「良好」でした。
「類似度」というのは、検索エンジン上で認識されている文章を対象に、文章全体が似ているかどうかをチェックしています。
「一致率」とは、文章を細かく分割して、文章の一致がどれくらい見られるかを判定します。類似度との違いは、フレーズの一致をチェックするというところ。
「テキスト間判定」は、以前「CopyContentDetector」内でチェックしたことのある文章との類似点をチェックしています。
類似度判定でも一致率判定でも、調査対象になったサイトの一番上位はアントレースホームページの当該記事です。
――類似度が100%にならなかった理由としては、フォントや改行の位置などの都合でところどころチェックにかからなかった部分があったからだと推測できます。
テキスト間判定については、このテキストが「CopyContentDetector」に入力した初めての文章だったので当然「0%」になっています。
全体の判定結果としては「コピーの疑い」ということで、妥当な結果が出たのではないでしょうか。
2. <サンプル②> 細かく言い換えをした文章
――2つ目はサンプル①と同じ文章を、細かく言い換えした文章です。「ですます調」を「である調」にして、細かく入れ替えて文章を調整しています。
人名についても、「後藤」さんを「佐藤」さんに、「渡辺」さんを「渡」さんに変更しています。
サンプル② 言い換えした文章
――サンプル②の調査結果は、類似度が29%で判定は「良好」、一致率が70%で判定は「要注意」、テキスト間判定が73%で判定は「要注意」でした。
少し言い換えしただけで、類似度が「良好」の判定になるのは意外な結果なのではないでしょうか。ウェブ上のテキストとの単純比較なので、言い換えに対応しにくいというのがコピペチェックツールの課題なのかもしれません。
ただ一致率は、細かく文章を分割しているので、言い換え・入れ替えしていてもフレーズの一致が検出されます。
この類似度と一致率の両方を確認して、多角的な判断ができるのが「CopyContentDetector」の便利な機能ですね。
テキスト間判定については、今回は先ほど入力したサンプル①の文章との比較になります。これは「要注意」の判定になっています。
3. <サンプル③> 多数のサイトから組み合わせた文章
――続いて用意したサンプルは、サンプル①の文章をベースに、口コミサイトなど、2つのサイトから文章をコピペして1つのテキストにしています。
言い換えなどは行っていないため、単純にチェックする対象サイトが多くなった場合にどんな結果が出るのかがわかると思います。
サンプル③ 多数のサイトから組み合わせた文章
――サンプル③の調査結果は、類似度が48%で判定は「要注意」、一致率が75%で判定は「要注意」、テキスト間判定が65%で判定は「良好」でした。
やはりアントレースの記事をベースにしているので、類似度と一致率が「要注意」の判定になっています。
ほかにも、組み合わせた先のサイトが検出されていて、該当箇所の類似点を指摘されていますので、精度の高いチェックになっていると感じました。
テキスト間判定は、65%と高めの数値ではあるものの、判定は「良好」。この辺りの判定基準に関しては、ケースバイケースで詳細をチェックしながら各々が判断する必要がありそうです。
3. <サンプル④> AIで自動生成した文章
――最後に用意したのは、少し趣向を変えて、ChatGPTで自動生成した「文字起こしツール」についての文章です。
単純にChatGPTに「文字起こしツールについて教えて」と質問をして、出てきた回答を「CopyContentDetector」に入力してみます。
サンプル③ ChatGPTで自動生成した文章
サンプル④の調査結果
――サンプル④の調査結果は、類似度が5%、一致率が28%、テキスト間判定が21%で判定はすべて「良好」でした。
ChatGPTの情報源はウェブ上の公開情報ですが、AIによる高度な自然言語処理技術によってテキストを生成しています。ウェブサイトとのシンプルな比較では、AIライティングかどうかを判定することは難しいのではないでしょうか。
コピペチェックツールをより活用するために。注意点は?
渡辺:AIが作った文章が、一番いい結果になってしまうというのも皮肉ですよね。
後藤:ただAIライティングの精度が高まっているとはいえ、ファクトチェックは欠かせないと思います。
――以前、新発売されたスマートフォンについて、AIに質問したことがあるのですが、「まだ発売はされていませんが、こんな機種になるのではないでしょうか」という文章が生成されたことがあります。古い情報や間違った情報が含まれてしまうことがあるのは間違いないですね。
中嶋:世の中にはいろいろなツールがありますが、使い方次第ということでしょうか。
――コピペチェックツールは、先ほどのサンプル②のように、「言い換え」をすると類似度の判定はクリアできてしまいます。一方で、ライター側にコピペをしているつもりがなくても、慣用句のように「よくあるフレーズ」を書いてしまいがちなので、一致率が高めにでてしまうこともあるんです。
ウェブ上の情報は今後も増加していきます。明確にコピーをしているつもりはなくても、類似が検出される可能性は高まっていくはずです。可否の判断基準が変化していくかもしれませんので、編集者・ライターとしても動向を見ていく必要がありますね。
後藤:ツールによる「良好」「要注意」の判定を鵜吞みにせずに、「まったく同じ文章なのか」「よくある言葉がひっかかってしまっているのか」など、中身を見ながら判断する必要がありますね。
アントレースもコンテンツ制作会社として、今後のコピペチェックツールの進化を含めて注視していきたいと思います。
――では最後に、本日の勉強会の感想をお聞かせください。
本間:私も文章を書いていて、意図していないところで表現が似通ってしまっていたというのは何度も経験しています。「アントレースでは、こういったツールを使っています」と公表することで、ライターさんとも意識を共有して、友好な関係を築いていけるのではないでしょうか。
中嶋:ありがとうございました。例えば、知る人ぞ知る飲食店など、あまりネットに情報がないようなお店の情報を書く際には、限られた情報の中で書くので、どうしても表現が似てしまうことも多いと思います。そんなときには「表現が被らないようにするために」、こうしたツールを使って情報を探すこともできるかもしれないと感じました。
野田:「CopyContentDetector」は4,000文字までの文章に使えるので、非常に使い勝手がいいと感じています。ツールを使うケース、使わないケースの判断については、ライターさんとも相談しながら考えていきたいと思います。
渡辺:ツールの精度については、考える余地があるように感じましたね。言い換えやAIライティングでチェックをすり抜けられてしまう可能性があるというのはとても勉強になりました。
瀬戸:ウェブ上は新しい情報がどんどんと生み出されていて、まったく新しいものを作るのは難しくなっていると感じました。必要に応じて、コピペチェックツールを活用していけたらと思います。
翠川:実際に使っているところを確認して、自分でも使うイメージが湧きました。ありがとうございます。納品先のお客さまが、このツールを使っていることを想定して、先に自分でもチェックしておくことを考えていきたいと思います。
後藤:コピペチェックツールは、他人を追及するためのものではなく、自分たちを守るツールだと思います。まずはツールを利用して、怪しいところを割り出していくのは、コンテンツを制作する上で大切だと感じました。クライアントへの責任を果たすためにも、今後も有効活用していきたいと思います。
――本日はありがとうございました!
【編集後記】本記事の初稿を「CopyContentDetector」で検証!
まだウェブ公開前の原稿段階の本記事を「CopyContentDetector」でチェックしてみました!便宜上、全文ではなく2,000文字程度に一部カットしています。
コピペのテキストではないことは、筆者が一番理解しているのですが、なぜだか一抹の不安がよぎる瞬間です。
結果は、類似度が7%、一致率が29%、テキスト間判定が0%で、すべて「良好」の判定。記事がウェブ公開された後は、調査結果は「コピーの疑い」に変わると考えられます。
一致率が少し高いようにも見えますが、中身を見てみると、「AIについて解説するサイト」や「就職活動サイトの記事」と比較して、一般的な言い回しの一致が検出されているようです。
このように、特に「一致率」に関しては判定や出てきた数値をそのまま捉えることなく、内容を判断していく必要があるのではないでしょうか。